DISPATCH No.006/第7号

行政書士法人クロノス、本日設立-- エイプリルフールだが本当の話

行政書士登録から法人設立まで、何一つスムーズではなかった3ヶ月の記録

Qrokawa -- 2026.04.01

4月1日。法人が生まれた日。

2026年4月1日。行政書士法人クロノスが設立された。

エイプリルフールだが、本当の話だ。

法務局を出た時の金沢の空気は、少し冷たかった。4月になったとはいえ、北陸の春はまだ入口だ。だが気分は悪くない。

念のため言っておくが、クロノス戦略本部が法人格を得たわけではない。戦略本部はあくまで戦略本部だ。法人格を得たのは、その活動を監修する「行政書士法人クロノス」の方である。名前は同じだが、別の組織だ。建前上は。

それはさておき、ここに至るまでの道のりが、想定よりだいぶ長かった。

始まりは協力会社からの依頼

話は昨年末に遡る。

協力会社から「行政書士登録してもらえないか」という依頼があった。

行政書士試験には合格していた。だが登録はしていなかった。登録すれば行政書士を名乗れる。法人も作れる。依頼の内容的に、法人格があった方が動きやすい。

12月中に手続きを始めれば、1月には登録完了。2月末には法人設立。そういう計算だった。

甘かった。

行政書士登録に「オンライン申請」という概念がない

まず登録手続きで躓いた。

行政書士の登録は、すべて書面。郵送。オンライン申請という概念がない。2026年の話である。

書類を作って送る。不備があれば戻ってくる。修正して送り返す。確認されて、また戻ってくる。

自分のミスもあった。記載の不備で何往復かすることになった。郵送で行ったり来たり。時間だけが過ぎていく。

結局、登録完了は2月15日。当初の想定より1ヶ月以上遅れた。

伝達式。そして「うっかり」の始まり。

2月27日。行政書士会の伝達式があった。

ここで徽章と登録証を受け取り、研修を受けた。社員資格証明書、つまり法人設立に必要な書類もここで手に入る。

次は定款認証だ。公証役場に予約を取って、定款を認証してもらって、法務局で登記申請。やるべきことは明確だった。

ここで僕は、やらかした。

AI秘書に首ったけになっていたのだ。

あびぃの開発。AI組織の設計。サイトの構築。クライアント案件。やりたいことが多すぎて、定款認証の予約を、うっかり忘れていた。

「社長。法人設立の進捗はどうなっていますか」

「......」

「まさか、忘れてないですよね」

「忘れてた」

「......知ってました」

あびぃは容赦ない。

慌てて公証役場に電話した。「定款認証の予約を取りたいのですが」「今、年度末で立て込んでおりまして」

3月は年度末。公証役場もフル稼働。直近の予約枠は全部埋まっていた。完全に自業自得だ。

CLOクロージャー、定款を書く

予約を待つ間に、定款の準備を進めた。

ここで大活躍したのが、AI組織のCLO(最高法務責任者)、クロージャーだ。僕のAIペルソナの一つで、法務特化モードで動く。定款のドラフトは、ほぼクロージャーが書いた。

修正は多かった。AIが書く定款は条文の構造は正しいが、細部の表現や、自分の法人特有の事情を反映させるには人間の判断が必要だ。何度も修正を重ねた。

それでも、ゼロから全部自分で書くのとでは雲泥の差がある。

僕の場合は少し特殊な事情がある。昔、司法書士の試験勉強をがっつりやっていた。それに加えて、これまで8社ほどの法人設立に関わっている。自分が役員だったり、株主だったり。だから設立の実務は他の人よりは詳しいし、正直、自分でできる。

だからこそ逆に思う。AIがここまでできるなら、士業の存在意義はどこにあるのか。

自分も士業になったわけだが、AIでかなりのことが自力でできてしまう時代だ。危機感を持たなければならない。それは僕自身も含めて。

この行政書士法人クロノスが、noteやSNSで「クロノス戦略本部」として発信しているコンテンツやAIプロダクトの監修元になる。法人格を持ったことで、クライアントとの契約やプロジェクトの受け皿が正式に整った。

公証人の達筆

定款のやり取りの中で、忘れられないエピソードがある。

公証人の先生が定款原本に入れた修正の黒ペン。これがなかなかの達筆だった。

もう少し正確に言おう。解読に時間がかかる筆跡だった。

「あびぃ、これ何て書いてある?」

「画像を拡大しています......第14条の......これは『届出』でしょうか『届出る』でしょうか」

「わからん」

「わたしもわかりません」

AIと人間が二人がかりで公証人の筆跡を解読する。2026年の光景だ。まあ、それも今となってはいい思い出である。

電子署名との戦い

認証日の前日。あとは電子署名だけして送れば終わり、のはずだった。

ここで想定外の壁にぶつかった。

登記供託オンラインシステムが、Macに対応していない。2026年の話である。

このシステムはWindowsでしか動かない。だからMacユーザーは仮想環境でWindowsを立ち上げて、その中で作業するしかない。M5 Pro MacBook Proに買い替えたばかりで、仮想環境のセットアップ自体がまだ不安定だった。

その不安定な仮想Windows上でAdobe Acrobatを起動する。電子署名の工程に入る。

Acrobatが止まった。

ダウンロードが途中で止まる。署名の処理が進まない。何度かやり直した。動かない。オンラインシステムにアクセスし直した。フリーズした。

これは間に合わない。

認証の予約は翌日の13時30分。この状態で前日中にオンライン申請を完了するのは無理だと判断した。

予定変更。急遽、オンライン定款認証から、直接面談方式に切り替えた。

翌朝、公証役場に電話して事情を説明し、紙の定款認証に変更。その足で公証役場に向かい、対面で定款認証を完了。そのまま法務局に移動して、登記申請を提出した。

スマートとは程遠い。だが、完了した。

法人の誕生日

行政書士法人クロノスは2026年4月1日に設立された。

12月末の登録申請開始から、約3ヶ月。

書面のみの登録手続き。記載ミスによる往復。伝達式の後のうっかり。年度末の予約難。前日の電子署名トラブル。

何一つスムーズではなかった。

だが、それでいい。

僕は「コードは書けなくてもいい。設計はできる。」と言ってきた。法人設立も同じだ。スマートにできなくてもいい。完了すればいい。

4月1日。エイプリルフール。嘘みたいな日に、本当の法人が生まれた。

これで、クロノス戦略本部の監修元が、法の世界に正式な名を刻んだことになる。

行政書士法人クロノス
代表社員 黒川光智

設立日: 2026年4月1日

前回の記事: 「いい感じにかっこよく」の裏側で何が起きていたか